日ごろ、会社と自宅を往復するような生活を送っているため、心斎橋で御堂筋パレード見物客にもまれて疲れ果てたえくりです。
さて、なぜミナミに行ったかというと、松竹座で上演中の十月花形歌舞伎「通し狂言 染模様恩愛御書(そめもようちゅうぎのごしゅいん)細川の男敵討(かたきうち)」を見にいっていたからです。
三十台独身で歌舞伎・・酒井順子さん的にいう「イヤ汁」がでている感じがします。
でも、「先代と比べてこの役者さんは・・」などと比べられるほどキャリアがあったり、お着物で行ったりしない分、まだ汁の出方は少ないと思います
さて、狂言といっても、ヘリコプターで移動していた方とか茂山さんたちがやってるヤツではありません。
実は私が歌舞伎を見始めたのも数年前、秋の通し狂言からでした。その後知ったのですが、歌舞伎って、たとえば幕間が2回ぐらいあっても、ひとつのストーリーを一幕、二幕と演じていくのではなく、別のストーリーの一部分をぶつぎりにして上演します(知っている方にはまだるっこい説明ですみません)。なので、番付(パンフレットですね)を読んだり、最初のほう我慢して聞いていたりしないと、筋がわからなかったりします。
一方、「通し狂言」はストーリーをはじめから終わりまでずっと通して演じるもの。それゆえ、えくりは、歌舞伎を見たことない方には、通し狂言から見ることをお勧めしています。関西では大体秋ごろ、若手の役者さんが通し狂言をしてまして、料金もさほどでなく(特にデパートのカード会員になると割引があってラッキー)、役者さんが花道でなく通路を歩いてくれるなどサービス満載なのでおすすめ。また関西では「関西・歌舞伎を愛する会」
さんが、夏ごろ(かな?)歌舞伎の見方を紹介する会をやっています。
さて今回のストーリーは、
町で見かけた美少年の小姓(愛之助さん)に一目惚れした若侍(染五郎さん)が、仕事を辞めて少年が勤める大名家に勤めなおし(ほとんどストーカーでかえって怖い気がするが)、恋を成就させる。実は小姓は父を殺し一家を破滅させた男(猿弥さん)をあだ討ちしようとしている。若侍はあだ討ちに力になろうといい、二人は義兄弟の契りを交わす。小姓に思いをかけている腰元(春猿さん)がそれを知ってブチ切れ、大名にチクるが・・
てなもの。(詳細は見てのお楽しみ)
江戸時代のボーイズラブなのです。
まあ江戸時代にはごく普通にあったことらしい(と番付にかいてあった)のですが・・
あっ、イヤ汁が出ているうえにBLファンと思われるやも知れませんが、違いますからね・・・
さて、今回の圧巻は、大名の家が火事になり、若侍が家宝の朱印を持ち出そうとするあたり。劇場で火が使えないため、この演目が長らくお蔵入りになったという原因のシーンで、今回ももちろん本当の火を大々的に使うわけにはいきませんが、迫力ありました。
それと、今回はおふざけもちょい多め。たとえば役者さん演ずる人物を紹介するのに、「今○○座で大評判上演中の歌舞伎に出演中の人気役者、××さん(もちろん本人)に生き写し」というのはよくあるのですが、今回は時事ネタ多しで、ハンカチ王子も登場・・・でもおば様がたには、染五郎さんの歌舞伎体操はわかっても、小梅太夫まではよくわからなかったみたいです。
しかし春猿さんてきれいですねえ。女性として完全負けてます。チックショーー!
さて、えくりの後ろの席にはえくりと同じ年ぐらいの女性二人連れが来てまして、
「今日は井上先生の演出だから、やりたい放題ね」
なんていろいろ論評してました。
それを聞いて、やっぱりえくりのイヤ汁はそれほどではない、と確認したのでした。
無駄な抵抗・・・